2010年お正月飾り(2)/馬2009年12月30日 14時36分



 私の母方の父祖の地は、私の祖父母に遡ると伊賀上野にたどり着きます。二十年前くらいには大叔父住んでいまして、子供の頃には時々連れて行ってもらったものです。
 その後も、私の住んでいる忍ヶ丘からは国道163号線一本でつながっている事もあり、自動車の免許を取ってからも時おり遊びに行っていました。
 今はもうその大叔父の家もありませんが、祖父母の墓所と菩提寺があります。ですから、やはり今でも時々訪れている街です。

 数年前、歳の暮れにたまたま訪れたことが有り、ぶらぶら街をお歩いていると、食料品店の店先に正月飾りが売られていました。そのうちの一つがこの「馬」のしめ縄です。
 家に帰って調べてみても、これが伊賀地方独特のものかどうかは、よくわかりませんでしたし、私が大阪のしめ縄のことをよく知らないのと同じく、母や伯父に聞いてもよくわかりませんでした。

 今年は、高山の花餅を買って飾っていることだし、しめ縄はこの馬のものを飾ろうと言うことで、この23日に伊賀まで出かけて買い求めて来ました。

 買ったのは藁で編んだ馬だけですがそれに橙と裏白、適当に切った紙垂…半紙が無かったので手元にあったトレーシングペーパー…を適当にあわせて、ついでに左馬にして飾りました。まぁ可笑しくないものになったかと思います。祖父の名前から勝手に「二代目中村屋音次郎作」などと友人たちには大法螺を吹いて写メールしておきました。

2010年お正月飾り(3)/掛鯛2009年12月30日 23時47分

 さて、お正月飾りのおしまいは「掛鯛」です。掛鯛は「かけだい」と読みます。国語辞典によると「近世、正月に、二匹の干し鯛を藁縄(わらなわ)で結び合わせ、かまどの上などに掛けたもの。六月一日にこれを食べると、疫病にかからないといわれた」というものです。




 裏白と紙垂(しで)はあとから私が付け足しました。実際にはこの鯛がわら縄で縛られているものです。

 掛鯛自体は俳句の季語にもなっているくらいで、一般的なものです。よく恵比寿さんなどで、二匹の鯛がちょうどこういう風に向かい合っている意匠をご覧になった方も多いと思います。あれがつまりは「掛鯛」だとの事です。

 三重県の伊賀地方では、正月に掛鯛を神棚に飾る風習(私は玄関に飾ってるものを見たこともあります)があるそうで、年末の時期、伊賀上野ではあたりまえに売られています。大阪で生まれ育った私にはとても珍しいものでした。しかも不明なことに掛鯛なんてものを全く知らなかったものしたし、しかもしかも、子供の頃から知っている土地だったのにそのような風習など全く知らなかったものですから、この掛鯛を見つけたときにはとても新鮮な驚きでした。

 この掛鯛については、ネットにもあまり記述がありませんでしたが、今年、中日新聞のwebで掛鯛に関するニュースを見つけました。

 すこしひねくれている私は正月飾りも少し変わったものをと思い、伊賀上野で見つけた少し呪術的な匂いのある馬のしめ縄や掛鯛を飾ってはひとり悦に入っています。
 自分たちの住む地域の風習に従わず、好き勝手な風習を持ち込み玄関先で開陳することに関しては、大げさに言うと地域文化を毀損する事にもなりかねないのですが、実際には文化と言うものは変化して行くものでもあり、同時にこの程度のことではゆるがないものでもあると思います。ゆえに私は自分の好みに従って「我が家のお正月」をお祝いすればよいであろう、そうと考えています。