私の好きな/マリアージュ・フレール2009年11月29日 20時54分

 バブル期については否定的な論調が多いのですが、私にとってはとても楽しい時期でした。仕事柄、経済的にバブルの恩恵を受ける事はまったくありませんでしたが、世の中が豊かになって浮かれ、浮き世と共におもしろおかしく暮らしていました。また、世の中の景気が良いものですから、外国から良いものが沢山入ってきて、私のような一庶民にもその福音が大いにもたらされた時期でもあります。

 その一つにこのフランスの茶商、マリアージュ・フレールがあります。多くのフレーバード・ティーを取りそろえた高級そうな店で、店の構えも店員の麻のジャケットも植民地風です。店にはカフェもあって、全てのお茶を飲む事が出来ます。

 お茶…紅茶と言うと、どうしてもイギリスを想起しますが、実際に、お茶の味がよいのはフランスのこちらのほうです。そのあたりはさすがにフランスの面目躍如というところでしょう。

 お茶の味については、書誌学者でエッセイストの林望氏が「イギリスにおける紅茶は"媒体"である。お茶は人と人が話をし、時間を過ごす事を媒介するのであってお茶自体が目的ではないのだ」という意味の事を書いておられます。おそらくそうでしょう。そして、フランス人にとっては、やはりお茶それ自体も目的であるに違いありません。

 マリアージュ・フレールはそのなにもかもが高級で、水も漏らさぬ完璧さに見えます。お茶それ自体からその周辺にある茶器や美しく細工された砂糖、また菓子、はたまたインセンスやキャンドルまで用意されています。どれもが美しくまた高価ですばらしく、バブル期の楽しかった雰囲気を思い出せてくれます。

 関西では三都…大阪心斎橋、神戸元町、京都河原町に店がありましたが、このうち大阪は撤退してしまいました。心斎橋が子供の街になってしまい、大人が来なくなってしまっては高級店はやってゆけません。ただ撤退ではなく西梅田にでも移転してくれたら良かったのにと思います。

 そうそう高いお茶ばかり飲んではいられませんから、ここへお茶を買いに来るのも年に何回かというところです。
 きょうはその何回かの一回。神戸の元町までやってきました。時間もあるし、ちょっとくたびれているし、今日はお茶を飲んで行く事にしました。



 いかにも「高級なのよ」と言う感じでまぁ僻みっぽい反権威主義の小市民としては「けっ」とも思いますが、でもまぁテーブルは美しく店は調和が取れていてお茶もおいしくしかもすいています。

 窓から見える元町の通りですが、以前よりも道行く人の服装は地味で野暮ったくなり、人も少なく、なんだか艶がありません。不景気です。

 さて、お茶はいろいろと買って帰りました。これをなんとか一冬持たせるようにしたいものです。ちびちびと飲みましょう。
 今夜のお茶は「ノスタルジー」。なかなかいい名前のお茶です。



マリアージュ・フレール
http://www.mariagefreres.co.jp/

コメント

_ ゲイリー ― 2009年12月03日 14時06分

初めて河原町のマリアージュフレールを訪れた時は、店員の白い麻の上着とその背後にずらりと並んだ美しい茶壺に衝撃を受けましたね。 多種多様なブレンドの茶葉には気の利いた名前と物語性があって、その洒落た世界(というか文化的厚みというか)に痺れたものです。
その折り、紅茶を買うついでに、一枚目の写真にある紅茶碗も買ってしまいましたよ。

_ たのけのあむら ― 2009年12月05日 23時52分

>ゲイリーさん

 おお、やはりご存じでしたか。
 仰る通り、「気の利いた名前と物語性」ってのが本当に痺れますよね。ですからお茶も、好みと言うよりも名前で買ってしまいます。この「ノスタルジー」は定番のようにして飲んでおります。
 ここが発行している本も買い求めて読んでおりますが、これで名前とそのブレンドの内容が判りなかなか面白いです。
 お茶碗もお持ちなのですね、あれも結構なお値段ですよね。私は茶碗は持っていないのですが、あのジャケットを着た、分福茶釜のようなポットは随分昔に買い求めて、今も割らずに使っております。これがかなりの優れものです。
 ここのお茶はネルで濾し、濾したお茶をポットで保温しつつ飲むので、イギリス流のように濃くなってしまったりしません。このあたりがフランス風だなと思います。

_ Can you grow taller with exercise? ― 2017年09月04日 06時28分

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