旧居再現計画【電話機】2012年02月10日 09時48分

 我が家に電話が引かれたのは昭和42年の事だと記憶しているのですが、定かではありません。ずいぶん遅いような気もするのですが、住宅用電話の普及率から見ると遅くはなかったようです。

 当時、電話機は、玄関にあった下駄箱を収納するためのニッチが室内に飛び出していた、その上に置かれました。その時のことをよく覚えています。
 そして電話機はこれ…



 オークションなんかではお馴染みの電電公社4号A型自動電話機です。これも、家のものは速くに公社に返してしまいましたので、これはオークションで手に入れたものです。

 当時私は小学生でしたが、本体も受話器もずっしりと重かったことを覚えています。今、持ってみてもやはり重いですね。電話機はもう随分と軽くなっちゃいましたから。昔はサスペンスドラマなんかで、電話機で後頭部をぶん殴って殺人…なんてのもあったものです。今の電話機ではとうてい無理な話ですね。

 この電話機は比較的以前に落札したもので、家の固定電話をこれに替えようと目論んだのですが、家族の反対にあって潰えてしまいました。今回、実家の和室において、実際に使えるようにしようと考えています。

 もともと置いてあった「下駄箱の上」はラワンの一枚板だったかと記憶しています。背面は玄関とを隔てる型板ガラス障子で、縦使いの「モール」が入っていたように記憶しています。もしかしたら、銀モールだったかも知れません。
 できればラワンの台の背面にモールの入った窓でもしつらえて、そこに置いてやりたいものです。

旧居再現計画【電傘】2012年02月07日 00時00分

 最初に手に入れたのは、当時と全く同じ電球の傘です。
 乳白色のガラス製で、セルロイドを巻いて装飾を施してあります。装飾も凝ったものではなくて簡素、たぶん当時から安物だったんだと思います。でもまぁ安物でも懐かしさは変わりませんね。



 吊り下げのためのブラケットはしっかりした現代のものです。天井との接続は引掛シーリング、このあたりは、安直に現代にあわせてあります。昔は直接の接続だったのでしょうかね?

 電球を取り付けてあるソケットは、ナショナルの「国民ソケット」です。これ、まだそのまんまで売られています。E26口金が2つのタイプ。3つのタイプもあるのですが、うちでは2つでした。そこに60W球とE26の10W球とを取り付けました。当時と同じです。
 国民ソケットのプルスイッチは4段階、全点灯→主点灯→副点灯→消灯​です。昔の写真でこのソケットにプラグをつないで、家電機器に給電しているものがありますが、ブラケットの根元にコンセントが付いているものもあれば、ソケットにコンセントアダプタをとりつけて、そこへつなぐものもあります。3口だとだいたい主灯・副灯・コンセントと振り分けていたようです。



 点灯させてみると、思いの外、風情がありまた当時を鮮やかに思い出せてくれます。子供の頃は夜が長かったし怖かった。

 これで一気にやる気が出てきて、猛然と部屋の片付けを始めました。早いうちにそこそこまで持っていきたいものです。 https://lh5.googleusercontent.com/-sH6Cm_m0roI/TytjnPaddBI/AAAAAAAAGYY/QNKpyz1VPac/s400/%25E8%25B1%2586%25E7%2590%2583400.jpg

旧居再現計画【序】2012年02月07日 00時00分

 人というのは自分の建てた家よりも、自分の育った家の方をよく覚えているように思えます。

 最近は年齢のせいか、昔のことを思い出すことも多く、その性格が災いして、思い出すとその郷愁は非常に強くもはや昔を渇望するという域にまで達してしまいそうです。つくづく因果な性格だと思いますが、それが治らないどころか、なまじ様々な手段でそれを実現させる術を年令と共に手に入れたものですから、ますます病膏肓に入ると言った様相を呈しています。

 いや、自分の性格の話ではありませんでしたね、人は育った家のことを最もよく覚えているようで…というお話です。

 最近ほんとうによく昔の、育った家の事を思い出します。赤屋根瓦、焼杉の外壁、濡れ縁、風呂釜の煙突、便所の臭突、柿の木栗の木葡萄の木…。家の中の古い照明器具、型板ガラスの窓、緑色の面格子、テーブル…。これらはほとんどすべて取り壊され、捨てられてしまったものばかり。確かに、置いておく訳にもいきませんが、失われてしまったのはやはり残念です。

 不思議なことに、父が自分で建てたこの家のこと、父にしろ母にしろあまり覚えていませんし、興味も無いようなのです。記憶にしても実に曖昧ですしね。いろいろあったこと…空き巣に入られたとか、第二室戸台風だとか、庭で採れたぶどうでワインの密造をしたとかしなかったとか…、そういう事はよく覚えています。両親の共通の趣味にドールハウスがあって、それで旧宅を再現してみては?と勧めるのですが、やはり全く興味を示しません。
 ところが、二人共育った家のことはよく覚えています。そういうものなのかなぁと思いますが、きっとそういうものなのでしょう。

 以前なら、これらの失われたものを取り返すのは、一介の庶民としてはほぼ不可能なことだったでしょう、しかし今は違います。ネットという情報網と宅配便という流通網があります。お金さえあれば全て復元することも可能でしょう、まぁお金が無いからそれはできませんが。

 ネットはまるでタイムマシンのようです。失われたものは手に入るわ、忘れていたものは思い出させてくれるわ、誤った記憶の修正までもしてくれます。若い人にはいろいろ福音ですが、老い始めた人にもやはり福音なのです。そして、ネットに慣れ親しんでいる人間の年齢が高齢の方向にも伸びている…それは、私のようにパソコン通信時代からの者も居れば、あらたにネットを始めた中高年も居る…ので、ネットには昔の情報や文物の紹介が増えています。実に愉快です。

 さて、そうして、自分の記憶を正確なものに修正しつつ、ネットを通じて昔の家財を探して、家や部屋の復元はまぁ無理としても、当時の雰囲気を、自宅を思い出させる、そんな部屋をひとつ作ってやろうと思っています。

 さて、どこまでうまく行きますかどうか?無論、最終的には莫大な資金を手に入れての完全再現ですけどね。