冬の金沢逍遥【2】2011年03月02日 00時00分

 旅の始まりが駅であるのはいいことです。石川啄木がふるさとの訛を聴きに上野駅へゆくように、巨大な駅にはその土地だけじゃない「気」が漂っていて、実に良いものです。

 往路は「サンダーバード7号」です。



 それにしても「サンダーバード」かぁ、なんてぇ名前だ…。
 リアルタイムで「サンダーバードを見ていた世代なので、ひとつには「これはサンダーバードじゃないぜ」という気持ちと「サンダーバードで来ました」なんて小っ恥ずかしくて言えやしないという気持ちがあります。
 サンダーバードってのは、高速ロケットの移動司令室であり、巨大コンテナを擁する輸送機であり、太陽近くまで飛べる宇宙船であり、小回りのきく潜水艇であり全身コンピュータの宇宙ステーションなのです。鉄道のイメージじゃないなぁ…

 話は脱線しますが、このサンダーバード1号のとにかく素早く駆けつけて状況を観察し必要な機材を2号に指令するという「移動司令室」や「情報を収集するための宇宙ステーション」と言う考え方はいやぁさすがに諜報機関の国イギリスの考え方(ドラマでは設立者の"パパ"ことジェフ・トレーシーは米軍だけど)だなぁと思います。振り返って我が国では、ウルトラ警備隊ですら、先行偵察を行って対処するということはなく(ホーク3号は偵察に向いているし、実際偵察機という役目もあるけど)マイティジャックのエキゾスカウトが特別偵察機だったけれど、でも偵察を行った後にMJ号に戻って作戦を決定するというようなこともなかったような…

 話が脱線しすぎましたが、要するに「サンダーバード」ってのは妙に尻の落ち着かない列車名であるということです。

 そんな落ち着かない尻を乗せて、サンダーバードはまるで新幹線か飛行機かと言うように中間駅を飛ばして北陸に向かいます。京都を出たら福井にしか停まりません。敦賀もにも芦原温泉にも加賀温泉にも小松にも止まりません、驚きでした。
 列車のスピードアップってのは、大概は終着駅までへの所要時間短縮のために使われるんですが、そうじゃなくて、停車駅を増やすためにスピードアップする列車があったりしてもいいんじゃないですかね?山陽新幹線でのんびり走らせてる500系こだま号を、本来の想定速度320km/hにして、高加減速能力を活かして停車駅が多くても速いひかり号なんてぇのを設定してもいいんじゃないのかなぁ…

 そんなヨタ話を考えつつぼんやりと車窓を眺めています。



あ…琵琶湖だ…もう湖北かぁ…。



れれれ、あれは白山連峰か?
と思っているうちに金沢へ到着。それにしても速いなぁ。
そして降りてびっくり金沢駅。



 国際フォーラムか京都駅か、それを超えるかの立派さ。

 それはさておき、お腹が減りました。とにもかくにも昼食にしましょう。


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<つづく>

冬の金沢逍遥【3】2011年03月04日 00時00分

 金沢といえば古都ですし、加賀百万石でさぞかし旨いものがあろうかと思われるのですが、そんなものは高くて手が出ませんし、有名な大友楼にしてもうちの母に言わせれば「ひとっつもおいしない」とボロカスでした。
 こういう時の強い味方は当然B級グルメという奴で、それでいけば金沢には「ハントンライス」と「カレー」があります。そこで、あちこち検索して、適当な店を決めました。宿にほど近い「グリル・オーツカ」のハントンがそれなりB級的に旨いらしいです。

 グリル・オーツカは片町というところにあるらしく、とにかく腹ペコで歩きたくないから、おりしもやってきた100円のバスに乗って行きます。



 おお、ここだ。適当にヤレた感じで、老舗っぽい。どんどん人が入って行きます。

 席についてやってきた実にオールドなウェイトレス嬢、
「なにしましょう?」
さんざん下調べをしていたので、まるでいつでも食べているかのようにメニューを見ずに…
「ハントンね」
「は~い、ハントン一つ!」



 う~んなるほど、ほほう、こりゃいけるなぁというお味でした。
 オムライス+トンカツ+エビフライ+ケチャップ&タルタルソースという感じで、最初から大盛りだし、もう満腹になりました。昼ごはんに良いですが、ボリュームがあるので食べきれない人もいるかも知れませんね。斯く言う僕も食べきれませんでした。無理すると眠くなるし。



 午後から歩くつもりなので、カロリーの補給と思っていましたが、はたして残すほど補給には十分過ぎる量でした。でも昼食は成功でした。幸先がいいですね。


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冬の金沢逍遥【4】2011年03月06日 00時00分

 お腹もふくれたことですし、歩きはじめました。とりあえず金沢城・兼六園の外周を時計回りで行くことにします。
 まず目指すは近江町市場…なのですが、ここでまた、出発前の母の一言、「地元の人に言わせたら、近江町でだけは買うたらあかんらしいで」。ああ、またしてもひとの楽しみを打ち砕くような発言。聞けば、近江町市場は、大阪で言うところの黒門市場、京都で言うところの錦市場だとのことです。なるほど、そう聞けば理解できました。
 もっとも、旅の空、市場でカニを買って…いや、カニだけではなく海産物など買ってもどうしようもありませんから、ここはまぁ撮影だけにしておきましょう。

 そのまえに、尾山神社脇で優良物件に遭遇。



 なんとよさげな飲み屋街。雪解け水が雨のように飛び散っています。記録用のデジカメ撮影もそこそこにローライフレックスで撮影。夕方だったらもっといい感じなんでしょうね。

 ほどなく近江町市場に到着。あの母の意地悪な言葉(本人は善意の警告の積りでしょうが)に撮影意欲はしぼみます。ありゃほんとに実母なんだろうか?ままははでは?



 これといって撮りたいものはないなぁと思いつつ出口のあたりに、おかしな看板…



 「メロメロポッチ」…???
 喫茶店らしいですが…幟には「生ジュース」、横の板切れには「お二のパスタ¥700」さらにその横に「素人厳禁オリジナル辛口チキンカレー」。鬼って何?素人厳禁の辛さって?


 
 ヒジョーに怪しい、地下への階段、なんだかデジャヴのような…あ!同時代ギャラリー地下のアンデパンダンだ。



 日替わりランチは極めて健康的でなんだこの齟齬感覚は?サブカル感満載だし。その場で検索をかけてみますと、どうも喫茶でギャラリーでライブハウスという、見かけどおり期待通りのお店のようです。

メロメロポッチ

 入りたいんですが、満腹だし先を急ぎたいしで、やむなく通過します。


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<つづく>